これがインドの神映画ってやつか!

雑記

名前は伏せるけどとあるインド映画のネタバレを含むので、なんのインド映画かわかったら先に映画を観てから本記事を読むことを推奨します。

珍しく推しがインスタを更新した

ことの始まりは推しが珍しくインスタを更新したことだった。

推しのインスタ投稿の内容は、自分が仕事で関わっているインド映画の広告を映画館で見つけたというもの。SNSをめったに更新しない推しがわざわざインスタで言うということは、この映画をファンに観てほしいに違いない!さっそく映画を観に行こうと思い、上映映画館を調べてみると、

ん?…字幕しかない!?

推しが仕事で関わっている映画なので、てっきり吹替の声を担当していると思っていた。どうやら映画の宣伝動画のナビゲーションボイスを担当しているということだった。じゃあ本編には出てないってことやん!?…ここで映画を観に行くか迷ったが、宣伝動画を見ると、「制作費に数百億円使っている!」「海外の有名な俳優を使っている!」とのことで、意外と面白そう。なにより、SNSをめったに更新しない推しがわざわざSNSで宣伝するんだから面白いに違いない!知り合いのオタク数人を誘って映画館に向かった。

映画館に着き、インスタに上がっていた広告の前で記念撮影。写真だけ撮って帰るのが正解だったかもしれない。このあたりから嫌な予感がしていた。例のインド映画だが、インスタに上がっていた広告以外ほとんど宣伝やグッズなどなかったし、上映数も1日1回だけで、席もガラガラだった。面白い映画だったら、映画館が宣伝するし席も早く埋まるはず。さらに、推しがインスタ投稿をした日が、ディズニーの新作映画の公開日に近いと気付いた。もしかして、推しはディズニー映画を観に来てたまたまインド映画の広告を見つけたからインスタ投稿しただけなのでは?…ちなみにインド映画の上映時間は3時間。もしつまらなかったら3時間も地獄に耐えなければならない。いやいや、推しが仕事で関わっているインド映画なんだから面白いに違いない!そう自分に言い聞かせてチケットを購入し、映画が始まった。

映画はインド神話がモチーフになっているらしく、大昔に神々が戦うシーンから始まった。インド神話で有名な神々の名前とか、さっそく難しそうなカタカナの単語がたくさん出てくる。私はインド神話の知識がほとんどないので、この時点で半分くらい話についていけていなかったが、映像の迫力はすごい!制作費に数百億円使っているだけあって、CGがすごくリアルでかっこいいことだけはわかった。

シーンが変わり時は未来へ。6000年に1度神の子が生まれるという伝説があり、今がちょうどその6000年目。地球は悪の帝国により支配されていて、反乱軍は帝国を倒すために神の子をお腹に宿す神の母を探しているみたいな設定らしい、たぶん。この未来のシーンで、反乱軍の偉い人らしい顔に傷のある渋いじいさんが神の母を探す所が描かれる。私はこのじいさんが主人公なのかと思って観ていたが、帝国軍に捕まってあっさり殺されてしまう!?…お前主人公ちゃうんかいっ!この時点で、映画が始まってから30分か1時間くらいかかっていた気がする。いや、主人公どこでなにやってんだよ!まだ物語の目的が全然わからない。ただ、帝国が妊婦を使って怪しい実験をするシーンはインド映画じゃないと作れないんじゃないかな。あまりにグロすぎて日本や欧米でやったら苦情が来ると思う。この実験のシーンはメイドインアビスみがあって個人的にかなり好き。

映画が始まって1時間くらいして、やっと主人公の男とヒロインの神の母が登場。起承転結の起の部分長すぎないか?… 起承転結って日本人だけの文化だったのか、勉強になった。まあでも、主人公の男出てきたしやっとこの辺から面白くなるのかなと思っていたが…主人公くん、全然主人公っぽいムーブをしない。日本の漫画やアニメだったら、例えば主人公がヒロインに一目惚れして、「俺が絶対お前を守る!」って言って帝国軍と戦うみたいなわかりやすい展開になるじゃないですか。しかし本作では主人公はヒロインとはしばらく完全に別行動。ヒロインが帝国軍に追われて怖いめにあっている間、主人公は貧民街でぐーたら過ごしながら「お金持ちになりてーなあ」って言っているだけでした。まあでも、最初はやる気のない主人公がヒロインに出会って成長していくストーリーになるんでしょ、きっと。

その後も、ヒロインが帝国軍に追われるシーンと、全然関係ない所で雑魚を倒してイキっている主人公のシーンが続いた。隣からオタクのイビキが聞こえてきた。だが私は耐え続けた。推しが宣伝している映画なんだから面白いと信じてッ!きっと、神の子が生まれて悪者をやっつけるシーンになったら面白くなるはずだ!…

ヒロインが帝国軍に追われて反乱軍のモブが死んでいくシーンが続いていたがやっと物語に変化が起きた。ついに主人公とヒロインが対面したのだ!しかし、主人公の目的はヒロインを捕まえて帝国から賞金をもらうことだった。悪者じゃねえか!まあでも、ベジータみたいに最初は悪者だけど戦っていくうちにいいやつになるパターンでしょ、日本の漫画だったら。数百億円かけているだけあって、主人公とヒロインの護衛の不死身の老人とのバトルの迫力はすごかった!激戦の末、主人公が不死身の老人に敗北。人生ではじめて敗北した主人公。日本の漫画だったら、主人公が不死身の老人に弟子入りをお願いするとか、不死身の老人が主人公の才能に目をつけてヒロインの騎士になるように誘うとか、主人公がやっといいもの側になるはずじゃないですか。実際には、主人公は自分の基地に帰って、帝国軍を連れて来てまたヒロインを襲いにくるのであった。うーん、この主人公、まったく好きになれない。お金持ちになりたいから悪者側についてヒロインを襲う… 小物ムーブしかしてないやん!

いやでも、神の子が生まれたらきっと面白くなる!推しが宣伝している映画だから面白いはずだ!神の子が生まれる所を見るまで俺は寝ない!ジュースの残った氷をガジガジして眠気を押し殺す!神の子が生まれるまでッ! 

そして、3時間が経過し To Be Continued と画面に画面に映し出される。神の子は生まれてない。前編だったなんて聞いてないぞ???

最後のシーンで、主人公が神の1人の生まれ変わりだと判明し、神の力を解放した主人公がヒロインの絶体絶命のピンチを救う。おお、3時間我慢してやっと主人公のかっこいい所を見られた。帝国の王も別の神の生まれ変わりだと判明し、神々の戦いが再び始まるという、続きが気になる熱いラストでした。と思ったら、主人公には神の力を解放した間の記憶がないらしく、主人公がヒロインをさらって去っていく所で終わるのであった。主人公くん、やっとかっこよくなったと思ったら、最後の最後で小物ムーブで失望したよ。

日本の漫画や映画みたいに起承転結がはっきりしていないと思っていたが、どうやら3時間かけて起の部分をやっていたらしい。うーん、日本のアニメだったらオープニング前のモノローグで3分くらいの部分を、3時間かけてめちゃくちゃ丁寧にやっていたということか…あと、何が正義で何が悪なのか最後まではっきりしなかった。主人公はずっと悪っぽい方だったし。それは、インド神話がモチーフになっていて、神々の戦いにどっちが正義でどっちが悪とかないってことなのかな。海外の文化の違いということか。

ということで、インドの神々が出てくる映画、略してインドの神映画を観に行って、いつか面白くなると信じて観ていたら、3時間の序章を観せられていた話でした。ボロクソ書いてしまったけど、日本の漫画やアニメが好きな私にインド映画は刺さらなかったというだけ。いつもと違う文化圏の作品を観るのは新鮮な体験だったので、きっかけをくれた推しには感謝している。ただ、こんなめにあうのが自分たちだけなのはなんか悔しいのでなるべく多くの人を道連れにしたい。全人類、インドの神々が出てくる映画、略してインドの神映画を観ろ!!!!キエエエエエエエ!!!!!

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